さんさ踊りを長く楽しむ為の筋トレと生活習慣

さんさ好み まなぶです。今回はさんさ踊りを長く続ける為の体力維持についてです。

8月、Twitterにて三匹獅子舞の踊り手さんから「普段筋トレや運動をしているなら内容を知りたい」とリクエスト頂きました。

この声にお応えして、私にとって良い効果が出ている方法を書いてみたいと思います。

筋トレや運動は人によっていろんな方法や考え方があると思います。ここに書くことは「あくまでも一例」ということで読んで頂ければ幸いです。

しなやかな踊りに必要な体のコンディションとは

最初に、子供の動きを思いうかべて頂きたい。すべての動きがしなやかでスムーズ、軽く、柔らかい。どんな動きでも出来そうに見える。これは、筋肉が柔らかく、可動域が広く、筋肉どうしが適切に連携して動いているからである。

次に高齢者の動きを思い浮かべてみよう。動きが固く遅く、動作が重いことが多い。これは、加齢とともに筋肉が減少し固くなってしまい、可動域も狭くなり、関節は消耗し、筋肉どうしが適切に連携して動いていないからである。

つまり、しなやかな踊りに必要な体のコンディションは、「1.筋肉の柔軟性が高いこと」「2.可動域が広いこと」「3.踊りに耐える為の筋力と筋肉量」「4.関節の消耗を防ぐ」の4つが必要だと考えます。

「この4つを維持していれば出来るだけ長くしなやかに踊り続ける事ができる」という考えの元に、プロのトレーナーさんと一緒に筋トレ・ケア・生活習慣を組み立てています。

下半身トレーニング

大腿四頭筋のトレーニング

さんさ踊りは左足を軸にする事が多い。さらに太鼓パートの場合は+5.3kgの太鼓を抱えて屈伸したり跳ねる動作が多い。そのため、両足一緒に鍛えるのではなく、片足ずつの強化を行っている。

私が行っているのは「レッグプレス」というマシンを使い、片足に自分と同じ体重のウエイト65kg以上~+20kgをかけて、屈伸動作を出来るだけ深く行います。

さんさ踊りは瞬発力と持久力の両方が必要なので、かなりのスローペースで1セット20回を2セット、普通のペースで1セット12~15回を2セット、合計4セット。これを週2回。

ウエイトを大きくするほど故障リスクや関節消耗が高まります。基本的には片足で自分と同じ体重のウエイトの屈伸動作が3セット出来れば、踊りのパフォーマンス維持には十分と感じています。

このトレーニングは結構苦しいです。ですが、苦しい時の感覚が派遣演舞での残り2演目を踊りきる時に似ている為、メンタルトレーニングにもなっています。

ふくらはぎのトレーニング

跳躍するためにはふくらはぎの筋力も大切であるため、バーベルを担いでつま先立ちを繰りかえすトレーニング(カーフレイズ)を行っています。

1セット30回×3セット。これを週1~2回。

大殿筋のトレーニング

さんさ踊りでは大殿筋周辺の強さも大事だと感じているため、トレーニングゴムベルトを使って「クラムシェル」というトレーニングを行っています。

床に横たわってゴムベルトを膝上に巻いて、足を開くトレーニングです。1セット20回で4セット、週2回行っています。

現在は一番強い黒いベルトを2本巻いてトレーニングしています。

腹筋


基本はプランクとサイドプランクを行っています。
これは理学療法士トレーナーさんからお勧めされた種目で、さんさ踊りでは太鼓を抱えながら姿勢をまっすぐ保持する必要があり、これに大切な筋肉は特に腹斜筋だそう。

サイドプランクは「1セット最低1分半。3分間以上継続を目指してください。3分出来るようになったら踊りが相当楽になるはず」と言われたが、自分は1分40秒までしか出来ません。

それでも踊っている時は以前よりかなり楽に感じるようになりました。

上半身トレーニング

太鼓を力強く打つ為には、背筋、大胸筋、上腕筋、手首、握力の強化が必要である。

私は30代の頃に起こった怪我と故障、整形外科疾患が理由で、大胸筋のトレーニングが出来ません。

私は大胸筋を鍛えると神経圧迫リスクが高まり、酷くなると腕や指が動かなくなってしまいます。また、両手親指の過去の怪我後遺症により、手で重い物を継続的に持つことができません。

そのため、現在は背筋、上腕筋、手首、握力の強化のみ行っています。

背筋は「ラットプル」マシンを使用。他の種目は基本的にはゴムベルトを使ったり、腕にウエイトを巻いて行っています。

踊る前のストレッチ

踊る前は必ず15分程度のストレッチを行っています。

怪我や故障なくしなやかに踊る為には、全身の筋肉どうしが正しく連携して動く状態を作ることが大切です。

もし筋肉のどこか一部分が正しく動かなかったり、固まったりしている場合はどうなるでしょうか?
他の筋肉に異常な負荷がかかってしまったり、固まった筋肉が無理に引っ張られて引きちぎられることになります。

つまり、故障や怪我の原因になります。また、痛みを抱えながら踊ると、思い切り動けないため、動きがスムーズな踊りが難しくなります。

そのため、できるだけ踊る前には筋肉や可動域を柔らかくしておきます。

踊った後のケア

踊った後は基本的に入浴し、入念に全身のストレッチと筋肉のリリースを行います。

大きな負荷をかけた後の筋肉は固まりやすいので、これを放置しておくと痛みや怪我の原因になるためです。

通年で踊っている場合は、このケアは踊った後だけでは不足するため、基本的に毎日行います。

筋肉のリリースには、テニスボール・ストレッチボール、フォームローラーを使うと効果的である。私の場合は大腿四頭筋と内転筋すべて、ふくらはぎ、腰の左部分、肩甲骨周辺が固まりやすい。これらの筋群のリリースは毎日行っています。

膝のケアについて

膝のケアは以前「さんさ踊り手の宿命「膝痛」の原因とケア方法」で書いたのでそちらをどうぞ。

ケアの継続のおかげもあって、現在は踊っている最中の膝の痛みはほぼ無くなりました。踊った後は数日重苦しい感じになることもありますが、しっかりケアを継続することでリカバリーできています。

ちなみに、O脚の人の場合は外側広筋が固まりやすくなったり、内転筋群が固まりやすい人もいるようなので、自分に合ったケアを見極めて継続することが大切です。

普段の食事について

たんぱく質多め。脂質はできるだけ減らします。摂るとしても、オリーブオイル・ナッツ等良い脂をメインに。炭水化物は特に減らす必要はありません。

脂質の摂り過ぎは無駄な脂肪を増やして体重を増加させます。無駄な脂肪で体重が増えれば膝関節への負担が増えるし、身体を動かす為の筋力も多く必要になるので、踊り手としてはデメリットの方が大きい。

この生活をしていれば、炭水化物を少し多めに食べても全く太りません。太らないどころか、基本的に体重は減っていきます。身体を動かすエネルギーが血中に存在する状態が長いので、身体も頭もよく動きやすいです。

体重増加は気を付ける

体重が適正範囲よりも増加するほど跳躍しにくく、腰も落としにくくなるため、自分の体重の増減には気を配っています。

さんさ踊りの場合、一般的には雪駄のつま先が地面を離れない程度に跳躍する踊りが多い。体重が多ければ多い程跳躍時に体力を消耗するし、重くなりすぎてしまった場合は跳べなくなってしまう。

踊り手としてこうなることは出来るだけ避けたいので、体重コントロールは大切だと思っています。

体重減少のし過ぎにも注意

体重の落とし過ぎにも要注意です。人間が体重を落とす場合、脂肪だけではなく筋肉も一緒に落ちます。

これは出来るだけ避けたいので、私は有酸素運動は基本的に殆どしません。有酸素運動をすれば脂肪も落ちますが、筋肉も一緒に落ちていきます。

体重を落とす場合は、筋肉量を増やし、脂質摂取を減らし、代謝アップさせるやり方にしています。

体重が落ちすぎる場合もあるので、食事の量を増やしてコントロールしています。

関節の消耗について

20歳を過ぎてから、基本的に関節は日々消耗していくそうです。関節の消耗を止めることは出来ませんが、消耗のスピードを遅くすることは出来ます。

消耗のスピードを遅くするために必要なものは、ずばり筋肉量だそうです。ということで、筋トレは一生継続する必要があります。

関節系サプリメントも長期的にはそこそこの効果はあるそうですが、筋肉によるサポートには敵わないそうです。

ジョギングは関節の消耗を早める為、基本的に行わない方針にしています。仮に長距離パレードを行う場合、身体を慣らす為に1か月ほどジョギングをしようと思います。

お酒について

お酒はコルチゾールを増加させて筋肉を分解していきます。
さらに、日常的にトレーニングをしている場合、肝機能力はたんぱく質の分解に使われているため、ここにプラスアルファ飲酒で肝臓に負荷をかけると、肝臓が疲れて身体がだるくなりやすいです。

極端な例を挙げると、アルコール中毒患者は全身ガリガリで筋力が異常に乏しくいつも体に力が入らない状態です。これはアルコールが筋肉を分解し、肝臓がオーバーヒートを起こしている結果です。

よって、踊り手寿命を延ばすという観点では毎日の多い飲酒はデメリットの方が大きいと考えているので基本的に晩酌はしません。大事な派遣演舞を控えている場合、1週間前の飲酒はできるだけ控えます。

もしお酒をどうしても飲みたい場合、飲まなければいけない場合は、身体や踊りに大きな影響が出ない量を予め検証しておいて、飲む量を調節するのが良いと思います。

日本人の場合は個人差がありますが、1日350ml缶程度であれば体力維持にはさほど影響しないとするデータがあるそうです。

(でも本音は飲みに行きたいです)

踊る前の食事

満腹状態では体は重くなりおなかにガスが発生しやすいため踊りにくくなります。よって練習や演舞の1時間半~2時間前に食事は軽く済ませておきます。

そして、踊っている最中は糖質を大量に消費するので、踊る60分前にはバナナを1本摂っておく。糖質は身体を動かす為のガソリンであるため、消化吸収が早い食べ物が良いです。

また、筋分解をできるだけ防ぐ為に、踊る15~30分前ほどからBCAA5g~10gを溶かした水を摂取しておきます。

これをするとしないでは、踊っている最中と踊った後の体力や集中力のもちがかなり違ってきます。
特に1日2~3本の演舞がある場合は、全ての演舞でスタミナ切れを起こさないようにする必要があるため、食事と栄養を摂るタイミングと量は大事だと思っています。

糖質を摂らずに踊った時の後悔

たまにまったく食べずに踊ろうとする人を見かけますが、これだと踊っている最中にエネルギーが枯渇して体も頭も動かなくなるので危険です。

私自身も1度これで大きなミスをした経験があります。

当時ブームだったRIZAPの真似事をして数日間ほとんど糖質を摂らないで演舞に出向いたことがあります。2演目目で異常な息切れが起こり、3演目目からは立っているのがやっとの状態でした。
残りの演目はフラフラの状態なんとか続け、後悔ばかりが残る演舞となってしまいました。(演舞途中でメンバー殆どが異変に気付いていたようです(汗))

この失敗を通して、踊る前には身体を動かす為のエネルギーを摂ることは必須だと身に染みました。

また、糖質切れを起こした状態で踊ると、体内に身体を動かす為のエネルギーが無いため、筋肉を分解してエネルギーに変える作用が起こります。結果、筋肉が減っていくことになるため、筋力維持の点からも非効率的になります。

踊った後の食事

踊りでは筋力を大きく消費するため、たんぱく質の補給は重要である。踊った後の糖質摂取についても大事だ。炭水化物35g(茶碗で小盛り一杯程度のご飯)を摂ることで、筋肉合成効果が高まるらしい。

しかし終了が夜遅い場合、おなかを満腹にすると胃が疲れて次の日に疲れが残りやすくなるので、注意が必要です。

飲酒も前述した理由から基本的には飲まないか、少量にしておきます。

睡眠について

睡眠はいろいろ試しましたが、私の場合は夜10時前に寝て朝5時~6時に起きる習慣が一番体力の回復が早かったです。

夜遅く寝るほど次の日に疲れが残りやすいので、生活全体のパフォーマンスが下がります。

次の日に疲れが残っていれば、トレーニングや練習・踊りで全力を出しにくい状態になります。人間の体力を一番回復させられるものは睡眠なので、睡眠は今後も大事にしていきたいです。

他のさんさアスリート達

私が知っているガチなさんさアスリートの方達は、基本的に日常的な筋トレ、長距離のジョギングをしています。冬のオフシーズンだけジムに通って、ここで身体の筋力をアップさせる人もいます。

このガチアスリートの方と東京派遣演舞でご一緒した時に、朝早く起きて皇居周辺をジョギングされていたのには驚きました。体力維持の為に、どこに行こうとも日々の習慣は崩さないのですね。

このアスリートの方たちは、40歳代、50歳代になっても踊りのパフォーマンスが落ちていません。肉体の衰えは無く踊りの技術は年々向上していくので、年齢を重ねるほど洗練されているように見えます。

皆さんそれぞれ、自分に合った体力維持の方法や食事方法を研究されているようです。

まとめると・・

健康的にできるだけ長く楽しく踊りたいのであれば、

・「怪我をしない程度に最低週2回は筋トレをして、よく食べて、よくストレッチして、よく眠る。」
・「お酒は適度に、脂質は控えめに、たんぱく質は多めに。」
・「空腹で踊らないこと。糖質をしっかり摂れ。」

かと思います。私はこの生活に変えて4カ月くらいから効果を感じ始め、今では過去10年で一番体調が良いと感じています。

今の自分を作っているのは、今までの生活習慣によるものです。
これからの自分を作るのは、これからどういう生活習慣をするかです。

長く楽しく健康的にさんさ踊りを楽しんでいきたいと思います。

さんさ好みメンバーまなぶ

さんさ好み まなぶ